焼き鳥、塩かタレか。火入れで差がつく理由

家庭のグリルで焼いた焼き鳥が、店で食べるものとどこか違うと感じたことはないだろうか。肉の質の差だと思っている人が多いが、実際は串打ちと火加減の違いで説明がつくことがほとんどだ。

今日は串の打ち方から、塩とタレの使い分け、火加減、づけ焼きの技法まで、家庭のグリルやフライパンでも実践できる範囲で整理する。

串打ちのポイント

肉を切るとき、厚みをそろえることが最初の関門になる。厚みがバラバラだと、薄い部分から先に火が入り、厚い部分が生焼けのまま焦げてしまう。1切れあたり15〜18g、厚さ1.5cm前後を目安にそろえると、串全体で火の入り方が均一になる。

刺す向きにもコツがある。繊維に対して直角に串を通すと、加熱で肉が縮んだときに串から抜け落ちにくい。繊維に沿って刺すと、焼いている途中で肉が回転したり、串から外れたりしやすくなる。もも肉のような繊維がはっきりした部位ほど、この向きの差が仕上がりに出る。

皮つきの部位は、皮を外側に伸ばしながら刺すとグリルに当たる面積が増え、パリッと焼ける。皮が縮こまった状態で刺すと、加熱してもベチャッとしたまま終わることが多い。

塩向き・タレ向きの部位

部位塩・タレ理由
ももどちらも合う脂と赤身のバランスがよく万能
むねあっさりした味を活かせる
脂の旨みをダイレクトに感じられる
ねぎまタレねぎの甘みとタレの甘辛さが合う
つくねタレひき肉にタレが絡みやすい
砂肝食感を活かすシンプルな味付けが合う

各部位の詳しい特徴やぼんじり・せせりのような希少部位の話は別記事で解説しているので、そちらも参考にしてほしい。

火加減とひっくり返すタイミング

グリルやコンロの中火(180〜200度相当)で焼き始め、片面2分を目安にする。表面に軽く焼き色がついたら、そこで初めて裏返す。早く触りすぎると、串の周りに肉汁が逃げて表面がパサつく原因になる。

裏返したあとはさらに2分、合計4分が一つの目安だ。厚みが1.5cmを超える場合は、弱めの火に落として1〜2分追加する。焦げが心配なら、火から少し距離を取って遠火でじっくり仕上げるほうが失敗しにくい。

タレの「づけ焼き」のやり方

タレ焼きは最初からタレをかけて焼くのではなく、焼きながら数回に分けてつける「づけ焼き」が基本になる。

  1. まず塩を振らずに素焼きで両面を焼く。片面2分ずつ、合計4分。
  2. 一度タレにくぐらせて、再び焼き網に乗せる。片面20〜30秒。
  3. 再びタレにくぐらせて焼く。この工程をもう1〜2回繰り返す。
  4. 最後にタレをくぐらせたら10秒ほど炙って照りを出し、火から下ろす。

タレにつける回数は合計3〜4回が目安になる。一度に大量のタレをかけて焼くと、糖分が焦げて苦味が出る。少量ずつ重ねることで、焦がさずに照りと旨みを積み重ねられる。

料理長メモ:見習いの頃、最初からタレをたっぷりかけて焼いて、表面が真っ黒に焦げたことがある。タレの糖分は思っている以上に焦げやすい。少量を何度も重ねる方が、結果的に早く美味しく仕上がる。

よくある失敗と原因

焦げる

強火で焼き続けている、またはタレを一度に大量にかけていることが主な原因になる。中火を基準にして、タレは少量ずつ数回に分けてつける。

生焼け・パサつく

肉の厚みが不揃いなまま串打ちしていることが多い。厚い部分だけ火が通らず、薄い部分は先に水分が抜けてパサつく。切り分ける段階で厚みを1.5cm前後にそろえることが、火の通りムラを防ぐ一番の対策になる。

まとめ

焼き鳥の仕上がりは、串打ちの段階でかなり決まっている。厚みをそろえ、繊維に対して直角に刺す。塩向き・タレ向きは部位の脂の量で判断し、火加減は中火で片面2分ずつを基準にする。

タレ焼きは一気にかけず、少量を3〜4回に分けて重ねる。焦げとパサつきの原因はどちらも単純で、火力とタレの量、そして厚みのそろえ方にある。次に焼くときは、この3点だけ意識してみてほしい。

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