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土瓶で作るから土瓶蒸しだ。
それ以外の器で作ったものを土瓶蒸しと呼ぶのは、私は違うと思う。器が変われば、それはもう別の料理だ。
家に土瓶がないなら、無理に用意しなくていい。澄ましのお吸い物にすれば、それで十分だ。
土瓶蒸しは、あくまで「蒸し」だ
精選版日本国語大辞典は、土瓶蒸しを次のように説明している。
「松茸、季節の魚や鳥肉、野菜、ぎんなんなどを土瓶に入れ、薄味の汁を注いで蒸す」
私も、土瓶蒸しはあくまで「蒸し」だと思っている。
料理長メモ:日本大百科全書によると、土瓶蒸しが一つの料理として用いられるようになったのは明治以後だ。味の素やキッコーマンの家庭向けレシピには、土瓶を火にかけて煮る作り方もある。
土瓶がないなら、松茸だけのお吸い物でいい
土瓶がないなら、普通の澄ましのお吸い物にすればいい。具は松茸だけでいい。
鱧や白身魚を入れてもかまわない。
店では松茸・鳥の炭火焼き・銀杏・三つ葉を入れる
店で土瓶蒸しを出すのは、松茸が出回っている時期だ。具は松茸、鳥の炭火焼き、銀杏、三つ葉にしている。
肉料理を中心にした肉割烹の店なので、鳥の炭火焼きを入れている。松茸は縦に裂いて入れる。三つ葉は、提供する前に入れる。
銀杏の殻の割り方と保存は、銀杏の下ごしらえに書いた。
だしは一番だし。薄口で、あくまで吸い物
だしは一番だしを使う。味付けは基本、薄口だ。土瓶蒸しは、あくまで吸い物だ。店でも、会席の二品目、吸い物の位置で出している。
一番だしの引き方は、出汁の取り方に書いている。
蒸すのは10分。短いと具に火が入らない
火入れは蒸す。時間は10分くらいだ。
失敗するとしたら、蒸す時間が短すぎることだ。中に入れた具に、火が十分に入っていない状態になる。
松茸は、香りなら国産、値段なら外国産
国産の松茸のほうが、香りが良い。ただ、コストのことを考えると、店では外国産を使っている。
外国産だからといって、香りを補うために特別にしていることはない。
松茸の値段の話は、松茸はなぜ高いに書いた。
料理長メモ:林野庁の資料(元は財務省の貿易統計)によると、2022年に輸入された生の松茸は408トンだ。そのうち中国産が約64%を占めている。
まず出汁をお猪口で飲む。すだちは土瓶に搾らない
まず出汁をお猪口で飲む。あとは、好きに食べたらいい。土瓶の中の具も、基本は好きなように食べてもらっている。
すだちは当然、添えている。ただ、土瓶に直接搾るのは避けてほしい。中身が全部すだちの味になってしまう恐れがある。店でも、お客さんにはそう伝えている。
『世界の料理がわかる辞典』は、すだちやゆずの果汁を猪口に搾り入れる、と説明している。そこに土瓶から汁を注いで味わう。
土瓶を買うなら、人を家に招く人だ
家で土瓶を持つのは、あってもいいと思う。
人を家によく招く人、おもてなしをしたい人、家で雰囲気を楽しみたい人なら、買っていい。
土瓶がないなら、松茸のお吸い物で十分だ。
天目平丸土瓶むし 240cc 盃セット
店で使っている土瓶とは別のものだ。家で一人用の土瓶蒸しをするなら、土瓶とお猪口がそろった容量240ccのセットがある。
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料理歴20年以上の現役料理長。和食・肉料理の現場で培った知識を、家庭で活かせる形で発信しています。調味料の使い分けから包丁の選び方まで、プロの本音で解説するブログ「料理長まっくるの和食帳」を運営中。