おろし金、小さいほど損をする。料理長が選ぶ一枚

おろし金を選ぶとき、コンパクトなものを選んでいないだろうか。小さいおろし金は、手軽そうに見えて実は損をする。時間が余計にかかり、力も入れにくい。

店でも自宅でも、使っているのはステンレスのおろし金だ。大根おろしも生姜も、これ一枚で済ませている。わさびだけは別で、専用のおろし器を用意している。目の細かさも用途も違うので、大根用と兼用するとどちらも中途半端になる。

素材による違い

おろし金には、ステンレス以外にもいくつか素材がある。それぞれ特徴が違う。

ステンレスのおろし金とセラミックのおろし金の違い

ステンレスは刃が金属で、目の鋭さがしっかりしている。大根おろしにすると、繊維が適度に潰れて水分の出方が安定する。錆びに強く、洗ってそのまま伸ばして乾かすだけで扱える手軽さもある。

セラミックは陶器の刃で、金属特有の匂い移りがない。おろしたときに素材本来の香りが感じやすいと言われている。ただし刃が金属ほど鋭くないため、硬い野菜や大きな塊をおろすときは力がいる。落とすと割れる点も、扱いに気を遣う部分だ。

銅のおろし金と普通のおろし金の違い

銅のおろし金は、刃の目が非常に細かく作られているものが多い。わさびや生姜を、なめらかな仕上がりにおろせると評判が高い。価格は他の素材よりはっきり高く、手入れにも気を使う道具になる。

普通のステンレス製に比べると、銅は「きめ細かさ」を突き詰めた道具だと言える。日常の大根おろしに使うには、正直そこまでの細かさは求められない場面が多い。

鬼おろしと普通のおろし金の違い

鬼おろしは、竹や木でできた粗い刃を持つおろし器だ。大根を粗くザクザクとおろせるのが特徴で、シャキシャキした食感が残る。金属のおろし金でおろす、なめらかな大根おろしとは別物の仕上がりになる。

大根おろしをさっぱり食感で楽しみたいときは鬼おろし、繊細な口当たりを求めるときは金属のおろし金。用途がはっきり分かれる道具だ。

大きさで選ぶべき理由

小さいおろし金がなぜ損なのか。理由は2つある。

1つは、おろせる面積が狭いこと。刃の面積が小さいと、一度に食材が当たる範囲が限られる。同じ量の大根をおろすのに、面積が広いおろし金なら数十秒で済む作業が、小さいものだと倍近い時間がかかることもある。

もう1つは、力の入れ方だ。おろし金が小さいと、手と刃の距離が近くなる。食材を押さえる手と、おろす手の間隔が狭く、力が入れにくい。結果として、無理な体勢でおろすことになり、余計に疲れる。

売り場で選ぶときは、刃の面を見てほしい。大根を握った手が、その上でしっかり往復できる広さがあるかどうか。手のひらに収まってしまうような大きさだと、価格が安く見えても、時間と労力を考えると得とは言えない。

安全に使うための工夫

おろし金は、刃物と同じ扱いが必要な道具だ。指先を刃に近づけすぎると、皮膚を削ってしまう。

食材が小さくなってきたら、無理に最後まで手でおろさない。残りが親指の第一関節ほどの大きさになったら、それ以上はおろさず切り落とすか、料理に使う量として諦める判断でいい。

持ち手がついているタイプは、食材を安定して押さえられる分、指が刃に触れる危険が減る。受け皿や水切り穴がついたタイプなら、おろした汁の扱いも楽になる。すべり止めがついていれば、力を入れても本体が動かない。安全性を重視するなら、こうした機能のあるものを選ぶといい。

料理長メモ:指を一緒におろしたことは、10回では効かない。大根や生姜が残り少なくなったとき、つい欲張って最後まで使い切ろうとするのが原因だ。刃は食材の繊維も指の皮膚も、同じように削り取る。残りが小さくなったら、そこで潔く手を止める。この判断だけは、何年やっても油断できない。

価格帯で見る選択肢

価格帯特徴向いている人
100円ショップ軽量・薄い刃・すぐ切れ味が落ちやすいとりあえず試したい人。使用頻度が低い人
1,000〜3,000円ステンレス製が中心。厚みがあり扱いやすい日常的に使う一般家庭
3,000〜8,000円目の設計が丁寧。持ち手・受け皿つきが多い大根おろしや薬味を頻繁に使う人
銅 8,000〜20,000円目が細かくなめらかな仕上がりわさびや生姜を繊細におろしたい人

結局どれを買うべきか

100円のおろし金を悪いとは言わない。ただ、毎日のように大根おろしや生姜を使う家庭なら、1,000〜3,000円のステンレス製を1枚持つほうが、長い目で見て時間の節約になる。

小さくて安いものを選ぶより、手を動かす余裕がある大きさで、持ち手がしっかりついた一枚を選ぶ。これだけで、おろす作業にかかる時間も、指を切るリスクも減らせる。

わさびを繊細におろしたいなら、大根用とは別に専用のおろし器を用意すればいい。銅やセラミックは、その先にある選択肢として考えれば十分だ。まずは使いやすい一枚を、面積と持ちやすさで選んでほしい。

料理長おすすめ|買うならこの3枚

大根用とわさび用は、目の細かさが違う。兼用するとどちらも中途半端になる。まず大根や生姜に使う一枚を選び、わさびをおろす機会があるなら専用のものを別に足せばいい。

まず1枚目に|工房アイザワ ステンレス おろし金 5号(日本製)

刃の面がしっかり取られた定番の一枚。ステンレスなので錆びを気にせず、洗って乾かすだけで扱える。大根も生姜も、これ一枚でこなせる大きさだ。

もっと楽におろしたいなら|プロおろし V2 X(川端滝三郎商店・燕三条)

燕三条製で、刃の面が広く取られている。水切り穴とすべり止めがついているので、力を入れても本体が動かず、おろした汁の扱いにも困らない。大根おろしを作る回数が多い家なら、ここまで出す価値はある。

わさび用に|本わさび専用おろし板 鋼鮫 レギュラー(山本食品)

うちで使っているのはこれだ。本わさび専用に目を立てたおろし板で、金属なので鮫皮のような手入れがいらず、食洗機にも入れられる。使う頻度が高くない道具ほど、洗って放り込めるかどうかが続くかどうかを分ける。

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