「刺身に乗せるわさび、チューブと本わさびって何が違うの?」「本わさびって高いけど、そんなに違う?」
正直に答えます。料理歴20年以上の現役料理長が、わさびの種類・特徴・正しい使い方を徹底解説します。
わさびのことを知ると、刺身や寿司の食べ方が変わります。
わさびとは何か
わさびはアブラナ科の植物で、日本固有の食材です。山間の清流沿いに自生し、その栽培には清潔な水と適切な気温が不可欠。育てるのが非常に難しい食材です。
わさびの辛み成分は「アリルイソチオシアネート」という揮発性の物質。すりおろすことで細胞が壊れ、この辛み成分が生成されます。鼻にツンと抜ける独特の辛さはこの成分によるものです。
料理長として20年やってきて言えるのは、わさびは和食の中で唯一無二の薬味だということ。辛みと香りの両方を持ち、殺菌作用もある。これだけの役割を一度に果たせる食材は他にありません。
わさびの種類
① 本わさび(沢わさび)
水わさびとも呼ばれ、清流の沢で栽培されます。静岡・長野・岩手が主な産地です。根茎・茎・葉すべて食用になります。
すりおろしたときの辛みはやさしく、香りが豊かで上品。辛さが鼻にツンと抜けたあとすっと消えるのが本わさびの特徴です。
② 畑わさび
畑で栽培されるわさびです。沢わさびより辛みが強く、価格は沢わさびより低め。沢わさびに比べると香りはやや劣りますが、十分に美味しいわさびです。
③ 西洋わさび(ホースラディッシュ)
ヨーロッパ原産の植物で、日本のわさびとは別物です。辛み成分は同じアリルイソチオシアネートですが、香りがまったく違います。
市販のチューブわさびの多くはこの西洋わさびがベースで、着色料や添加物で本わさびに近い見た目に調整されています。
本わさびとチューブわさびの違い
| 比較項目 | 本わさび | チューブわさび |
|---|---|---|
| 原材料 | 本わさび(沢わさび・畑わさび) | 西洋わさび(ホースラディッシュ)が主体 |
| 辛みの質 | やさしく、すっと消える | 強く、刺激が長く残る |
| 香り | 豊かで上品 | シャープで人工的 |
| 色 | 淡い緑色(天然色) | 鮮やかな緑色(着色) |
| 価格 | 高い(1本500円〜) | 安い(100円前後〜) |
| 手軽さ | すりおろす手間が必要 | チューブから出すだけ |
| 鮮度 | すりおろしたてが最高 | 開封後も一定品質を保つ |
料理長として正直に言います。本わさびとチューブわさびは別物の調味料と考えてください。どちらが上ということではなく、用途と場面で使い分けるものです。
本わさびのすりおろし方
本わさびを買ったはいいけど、すりおろし方がわからない方も多いと思います。
使う道具
鮫皮おろしが理想です。鮫皮の細かいザラザラした面でわさびをすりおろすと、きめ細かくなめらかなわさびができます。なければ金属製のおろし金でも代用できますが、鮫皮の方が圧倒的に仕上がりが違います。
プロも愛用する「長次郎」の鮫皮おろしは、職人が手作りしており一生ものの道具です。本わさびを使い始めるなら一緒に揃えたい一品です。
ワールドヴィジョン 鮫皮おろし 長次郎 小(わさび・生姜のすりおろしに)
すりおろし方
- わさびの茎側(緑が濃い方)の先端を少し切り落とす
- 皮をむかずそのまますりおろす(皮に旨みと香りがある)
- 円を描くようにゆっくりすりおろすのがポイント。力任せに素早くすりおろすと繊維が残る
- すりおろしたら1〜2分置いてから使う(辛みと香りが引き出される)
料理長メモ
すりおろしたわさびは空気に触れると辛みと香りがどんどん飛びます。使う直前にすりおろすのが鉄則。まとめてすりおろして置いておくのは避けてください。
本わさびをまだ使ったことがない方は、まず産地直送の生わさびを取り寄せてみてください。スーパーではなかなか手に入らない、本物の香りに驚くはずです。
伊豆天城産 実生生わさび 1本(40〜50g)静岡県産・本わさびをご自宅で
わさびの正しい使い方
刺身・寿司
わさびの最もポピュラーな使い方。ただし一つだけ伝えたいことがあります。
醤油にわさびを溶かすのはもったいない。
醤油にわさびを溶かすと、わさびの香りが醤油の塩分と混ざって飛んでしまいます。刺身にわさびを直接のせてから醤油をつける方が、わさびの香りをダイレクトに感じられます。
料理長として20年やってきて、これだけは伝えたいと思っていました。
そば
ざるそばにわさびを添えるのは定番です。そばの香りとわさびの爽やかな辛みは最高の組み合わせ。そばちょこのつゆに少量溶かしていただきます。
和え物・浸し物
ほうれん草や菜の花のお浸しにわさびを少量添えると、爽やかなアクセントになります。ドレッシング代わりに使うのもおすすめです。
わさび醤油
少量のわさびと醤油を合わせたわさび醤油は、刺身だけでなく唐揚げや冷奴にも合います。
チューブわさびを美味しく使うコツ
チューブわさびも使い方次第で十分美味しくなります。
冷蔵庫でしっかり冷やす
チューブわさびは冷えている方が辛みが引き立ちます。常温に置きっぱなしにせず、使い終わったらすぐ冷蔵庫へ。
開封後は早めに使い切る
開封後は香りが飛びやすいです。2〜3週間を目安に使い切ってください。
チューブの先端を切りすぎない
一度に出す量を調整しやすくするために、チューブの先端はできるだけ小さく切るのがコツ。出しすぎ防止になります。
日常使いのチューブわさびも、無着色・本わさび配合のものを選ぶと風味がワンランク上がります。
無着色 沢わさびチューブ 28g(本わさび使用・着色料不使用)
わさびの保存方法
本わさびの保存
使いかけの場合
切り口をラップで包み、冷蔵庫の野菜室へ。2〜3週間保存できます。
長期保存したい場合
すりおろしてラップに包み冷凍すると1ヶ月程度保存できます。ただし冷凍すると香りがやや落ちるので、できれば使い切るのがベスト。
チューブわさびの保存
開封後は冷蔵庫へ。パッケージに記載の賞味期限内に使い切ってください。
よくある質問
Q. 本わさびはどこで買える?
A. 道の駅・産直市場・高級スーパー・ネット通販で購入できます。スーパーの通常の売り場には置いていないことも多いので、産直系のお店やネット通販が確実です。
Q. チューブわさびで「本わさび入り」と書いてあるのは?
A. 本わさびが少量配合されているものです。西洋わさびがベースですが、本わさびの風味が加わっているため、通常のチューブわさびよりも香りが豊かです。価格は高めですが、本わさびに近い風味を手軽に楽しめます。
Q. わさびの葉や茎は食べられる?
A. 食べられます。葉はさっと湯がいて醤油漬けや天ぷらに、茎は甘酢漬けや炒め物に使えます。根茎だけでなく全部使える食材です。
Q. わさびが辛すぎるときは?
A. 加熱すると辛みが和らぎます。わさびを使った料理に熱を加えるか、少量の砂糖を混ぜると辛みが落ち着きます。
まとめ
- 本わさびとチューブわさびは別物。辛みの質・香り・原材料がまったく違う
- 本わさびは鮫皮おろしで円を描くようにゆっくりすりおろす
- すりおろしたら1〜2分置いてから使うと辛みと香りが引き出される
- 刺身に使うなら醤油に溶かさず直接のせるが正解
- チューブわさびは冷蔵庫でしっかり冷やして使う
本わさびをまだ使ったことがない方は、ぜひ一度試してみてください。刺身の味が変わります。
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