ぬか漬けが続かないのは、最初の1週間のせいだ

ぬか漬けが続かないのは、飽きっぽさのせいでも面倒くさがりのせいでもない。最初の1週間の扱い方を知らないまま始めているだけだ。ぬか床は仕込んだ直後がもっとも不安定で、この時期を正しく乗り越えられるかどうかで、その後続けられるかが決まる。

今日はぬか床の作り方から、最初の1週間にやるべきこと、つまずきやすいポイントまで順番に書いていく。

ぬか床の基本の作り方

ぬか床は、炒りぬか・塩・水を基本の比率で混ぜて作る。目安は炒りぬか1kgに対して、塩130g(ぬかの13%程度)、水900ml〜1リットル。塩分濃度が低すぎると雑菌が繁殖しやすくなるため、最初は薄めず表示通りの塩分で仕込んだほうが安全だ。

ボウルにぬかと塩を入れてよく混ぜ、水を少しずつ加えながら耳たぶくらいのやわらかさになるまでこねる。パサつく場合は水を大さじ1ずつ足して調整する。仕込んだら、昆布・唐辛子・干し椎茸などを香りづけに入れておくと、旨みが早く安定しやすい。

市販のぬか床キットを使う場合は、この配合調整の工程がすでに済んでいる状態からスタートできる。塩分濃度や発酵の目安が最初から整っているため、初めての人はキットから入るのも十分現実的な選択肢になる。自分でぬかから仕込む場合は、この比率の管理が最初の関門になると思っておいたほうがいい。

最初の1週間の「捨て漬け」

仕込んだばかりのぬか床には、まだ乳酸菌が十分に育っていない。この状態でいきなり野菜を漬けて食べようとすると、味が入っていないうえに菌のバランスも整っていない。そこで「捨て漬け」という工程を挟む。

  1. キャベツの外葉や大根の皮、にんじんの端など、食べない前提の野菜くずをぬか床に埋める。
  2. 1日1回、床を底からしっかり返すように混ぜる。
  3. 24時間経ったら野菜くずを取り出し、新しい野菜くずに交換する。
  4. これを7日間繰り返す。

捨て漬けに使った野菜は、味を確認する程度に少しかじってもいいが、基本的には食べずに処分する。この7日間で乳酸菌が野菜の水分と栄養を得て徐々に増え、床全体の発酵バランスが整っていく。7日を過ぎたあたりから、本漬け用のきゅうりや大根を漬けても酸味と旨みが感じられるようになる。

毎日混ぜる理由

ぬか床には複数の菌が同時に存在している。乳酸菌は酸素が少ない環境を好み、床の底のほうで働く。表面には酵母や好気性の菌が集まりやすく、これを放置すると産膜酵母という膜が張り、風味が損なわれる原因になる。

1日1回、底から天地を返すように混ぜることで、菌の分布が均一になり、特定の菌だけが増えすぎる事態を防げる。混ぜる時間は1回あたり30秒から1分ほどで十分だ。この手間を惜しむと、数日でカビや異臭につながりやすくなる。

料理長メモ:出張が続いて3日間ぬか床を混ぜられなかったことがある。戻ってきたら表面に白い膜が張り、鼻を刺すような強い臭いが立っていた。慌てて表面を厚めに取り除き、塩を足して混ぜ直したところ数日で持ち直したが、放置していい日数は思っているより短い。

カビと臭いの対処

表面に生えた白い膜のようなものの多くは、産膜酵母と呼ばれるもので、有害なカビとは性質が違う。この場合は表面を厚さ1cmほど取り除き、よく混ぜれば問題なく続けられる。青や黒、ピンク色のはっきりした斑点状のカビが生えた場合は、その部分を大きめに取り除き、塩を大さじ1ほど足して様子を見る。全体に色や臭いが強く回っている場合は、そのぬか床は処分したほうが安全だ。

臭いが気になる場合、酸っぱすぎる臭いは乳酸菌が過剰に働いているサインで、数日混ぜる回数を増やすと落ち着くことが多い。逆に生ぬるく発酵していないような臭いは、気温が低すぎる環境が原因になっていることがある。冬場は室温が低い場所を避け、20度前後の環境に置くと発酵が安定しやすい。

よくある失敗

水っぽくなる

野菜から出る水分がそのまま床に溜まっていることが原因だ。きゅうりや大根など水分の多い野菜を漬けたあとは、床の表面にたまった水分をキッチンペーパーで軽く吸い取るか、乾いたぬかと塩を少量足して調整する。

すっぱくなりすぎる

乳酸菌が働きすぎている状態で、気温が高い時期や混ぜる頻度が少ないときに起きやすい。冷蔵庫で保管する、または1日2回に分けて混ぜると発酵のスピードが落ち着く。塩を小さじ1ほど足すのも酸味を抑える効果がある。

まとめ

ぬか床はぬか1kgに対して塩130g、水900ml〜1リットルが基本の比率になる。仕込んだ直後は捨て漬けを7日間続け、1日1回底から混ぜることで菌のバランスを整える。

白い膜は取り除けば問題なく、色のついたカビは範囲を広めに除去して様子を見る。水っぽさや酸味の強さも、水分調整と混ぜる頻度でほとんど解決できる。最初の1週間さえ乗り越えれば、あとは日々の手入れだけで十分続けられる。

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