鍋の中で赤しそを煮出していると、最初は茶色っぽく濁った紫色にしかならない。この段階で「失敗したか」と不安になる人は多いが、まだ工程の途中に過ぎない。ここに酢を加えた瞬間、鍋の中の色がぶわっと鮮やかな赤に変わる。何度見ても、この変化だけは見飽きない。
梅干し作りで赤しそを使ったあと、余った葉があるなら、このシロップに回すのがいい使い道になる。梅干しの赤しそ漬けについては別記事で解説しているので、そちらも参考にしてほしい。
赤しそ・砂糖・水の分量比率
基本の比率は赤しその葉200gに対して、水1リットル、砂糖400〜500g、クエン酸または酢100mlになる。砂糖の量は好みで調整できるが、保存性を考えると300g以下まで減らすのはすすめない。糖度が低いと発酵が進みやすく、日持ちが短くなる。
赤しそは茎を取り除き、葉だけをよく洗って使う。梅干し作りで使った赤しそを塩漬けの状態から使う場合は、塩分がついているため、砂糖の量をやや控えめにして味を見ながら調整するといい。
煮出す時間とクエン酸を加えるタイミング
- 鍋に水1リットルを沸かし、赤しその葉を入れる。
- 中火のまま10〜15分煮出す。葉が茶色っぽく色落ちして、汁が濁った紫色になったら葉を取り出す。
- 汁を鍋に戻し、砂糖400〜500gを加えて溶かしながら中火で5分ほど煮詰める。
- 火を止めてから、クエン酸大さじ2(または酢100ml)を加える。
- クエン酸を入れた瞬間、汁の色が鮮やかな赤に変わる。全体を軽く混ぜて色を均一にする。
- 粗熱を取り、清潔な保存瓶に濾しながら移す。
色が変わる仕組みは、赤しそに含まれるアントシアニンという色素が酸性の環境で赤色に発色する性質を持っているためだ。煮出しただけの状態はまだ中性に近く、くすんだ紫色にしかならない。酸を加えることで一気に発色し、あの鮮やかな赤に変わる。
クエン酸は必ず火を止めてから加える。加熱を続けたまま酸を入れると、香りが飛びやすくなる。仕上げの一手間として、火から下ろしたタイミングで加えることを覚えておくといい。
料理長メモ:最初にこのシロップを仕込んだとき、煮詰めすぎて色の変化を待たずに火にかけたままクエン酸を入れたことがある。色は変わったが、香りが飛んでどこか薬品っぽい仕上がりになった。酸を入れるタイミングは火を止めた直後、これだけは守ったほうがいい。
保存方法と保存期間
保存瓶は事前に煮沸消毒しておく。粗熱が取れたシロップを瓶に移し、冷蔵庫で保管する。砂糖をしっかり効かせている場合、冷蔵で2〜3ヶ月ほど日持ちする。開封後は雑菌が入りやすくなるため、使うたびに清潔なスプーンや容器を使うことを心がけたい。
冷凍保存も可能で、製氷皿に小分けにして凍らせておくと、使いたい分だけ取り出せて便利だ。冷凍なら半年ほど保存できる。
飲み方のアレンジ
- 炭酸割り:シロップ大さじ2〜3に対して炭酸水150ml程度。氷を入れると赤色がさらに映える。
- 水割り・お湯割り:同じ比率で水や湯に割ると、優しい酸味の飲み物になる。夏は水、冬はお湯にして体を温める飲み方もいい。
- かき氷シロップ:そのままかき氷にかけると、市販のいちごシロップとは違う爽やかな酸味が楽しめる。
- ヨーグルトソース:プレーンヨーグルトにかけると、酸味と甘みのバランスが取れたデザートになる。
お酒が飲める人であれば、焼酎やジンで割ってもよく合う。シロップの酸味がアルコールの角を丸くしてくれる。
よくある失敗
色が鮮やかにならない
クエン酸や酢の量が不足していることが原因になる。分量通りに加えても発色が弱い場合は、酸を少しずつ足しながら様子を見る。加熱したままの状態で酸を加えるのも発色が鈍る一因になるため、必ず火を止めてから加える。
早く傷んでしまう
砂糖の量を減らしすぎている、または保存容器の消毒が不十分なことが原因になる。砂糖は保存料としての役割も兼ねているため、極端に減らすと発酵が進みやすくなる。瓶は使用前に必ず煮沸消毒しておく。
まとめ
赤紫蘇シロップは、葉200gに対して水1リットル、砂糖400〜500g、クエン酸大さじ2が基本の比率になる。煮出したあと火を止めてから酸を加えると、鮮やかな赤に発色する。
冷蔵で2〜3ヶ月、冷凍なら半年ほど保存できる。炭酸割りやかき氷シロップとして、夏の間じゅう活躍する一本になる。梅干し作りで赤しそが余ったときは、ぜひこのシロップに回してほしい。
料理長まっくるの和食帳では、現役料理長の視点から肉料理・和食の知識を発信しています。
料理歴20年以上の現役料理長。和食・肉料理の現場で培った知識を、家庭で活かせる形で発信しています。調味料の使い分けから包丁の選び方まで、プロの本音で解説するブログ「料理長まっくるの和食帳」を運営中。