居酒屋の枝豆が美味いのは、茹で方が違うからだ

夏場、仕込みで大量の枝豆を茹でていると、湯気に混じって青々とした豆の香りが厨房に広がる。茹で上がりを一粒つまんで塩気を確認する。この一手間が、家庭で作る枝豆と居酒屋で出てくる枝豆の差を生んでいる。豆の品種や鮮度の違いもあるが、実は茹で方だけでもかなり近づけられる。

今日は塩もみから茹で時間、冷まし方まで、家庭でも再現できる手順を書いていく。

塩もみのやり方と理由

枝豆を茹でる前に、塩をまぶして揉む工程がある。この塩もみには2つの役割がある。1つはさやの表面についた産毛を落とすこと。産毛が残ったままだと口当たりがざらつき、見た目もくすんだ印象になる。もう1つは、さやの表面にうっすら塩味をつけて、茹でている間に豆自体にも塩気が入りやすくする下ごしらえの意味がある。

枝豆500gに対して塩大さじ1(約15g)を目安にまぶし、両手でこすり合わせるように1〜2分揉む。産毛が取れてさやの表面がつるっとしてきたら、そのまま塩をつけた状態で鍋に入れる。洗い流す必要はない。

茹で時間の目安と塩の分量

  1. 鍋にたっぷりの湯を沸かし、湯の量に対して3%程度の塩を加える。水1リットルなら塩30gが目安だ。
  2. 塩もみした枝豆を、塩を落とさずそのまま鍋に入れる。
  3. 強火のまま茹でる。さやの厚みが薄いタイプは3分、標準的な太さのものは4分、だだちゃ豆のような肉厚のさやは5分を目安にする。
  4. 豆を1粒取り出して味見し、好みの硬さになっていれば火を止める。

湯に入れる塩は「茹で塩」と呼ばれ、豆の中まで塩味を届ける役割がある。茹で上がったあとに追加でさやの表面に塩を振る「振り塩」を軽く行うと、口に入れた瞬間の塩気がはっきりして満足感が上がる。振り塩は茹で上がって水気が残っているうちに、ひとつまみ(1〜2g程度)を全体にまぶす程度でいい。

氷水に取らずザルで冷ます理由

野菜を茹でたあと色止めのために氷水に取る方法はよく使われるが、枝豆に関してはこれをやらないほうがいい。氷水に浸けると、さやの中に水分が入り込み、豆の味が水っぽく薄まってしまう。せっかく茹で塩と振り塩で味を入れても、この工程で流れ出てしまうことがある。

正しい冷まし方は、茹で上がったらすぐにザルに上げて、うちわや扇風機で一気に風を当てて冷ますことだ。余熱で火が入りすぎるのも防げるうえ、水分を含ませずに冷ませるので、豆本来の味と食感が残る。時間がない場合は、ザルの上で数回振って湯気を飛ばすだけでも、氷水に浸けるより仕上がりがいい。

料理長メモ:見習いの頃、他の野菜と同じ感覚で枝豆も氷水に取っていた時期がある。先輩に「豆が水膨れしてる」と指摘されて初めて、この工程が枝豆には合わないと知った。野菜はなんでも氷水、という思い込みを一度疑ってみたほうがいい。

よくある失敗

塩気が足りない

茹で塩だけに頼っていることが多い。湯の塩分3%はあくまで豆の中に味を入れるためのもので、さやの表面にはっきりした塩気を感じさせるには振り塩が欠かせない。茹で上がった直後、水気が残っているうちに塩を振ることを忘れないでほしい。

水っぽい

氷水に取って冷ましていることが主な原因だ。豆がさやの中で水分を吸ってしまい、味がぼやける。ザルに上げて風で冷ます方法に切り替えるだけで、この問題はほぼ解決する。

まとめ

枝豆500gに塩大さじ1で塩もみし、湯の3%の塩(水1リットルに塩30g)で茹でる。さやの厚みに応じて3〜5分茹で、茹で上がったら振り塩をひとつまみ。冷ますときは氷水を使わず、ザルの上で風を当てて一気に冷ます。

この4つのポイントを押さえるだけで、家庭の枝豆でも居酒屋に近い塩気と食感に近づく。次に茹でるときは、氷水を使わない冷まし方から試してみてほしい。

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