昆布だしとかつおだしに違いはある。ただ、家庭で使うなら合わせだし一つで十分だ。
昆布だしとかつおだしの違い
うま味インフォメーションセンターは、昆布のうまみをグルタミン酸、かつお節や煮干しのうまみをイノシン酸、干し椎茸のうまみをグアニル酸と説明している。
成分が違えば、味の出方も違う。昆布は静かに広がる旨み。かつお節は香りと共に立ち上がってくる。
同センターは、グルタミン酸とイノシン酸を合わせると、うま味が強まることを官能評価の結果として示している。単独より、合わせたほうが力が出る。
どれくらい強まるかという数字までは、ここでは書かない。自分の舌で確かめられないものを、記事の上だけで語っても意味が薄いと思うからだ。
ただし、1つずつ分けて考えても意味はないと思う
違いを知ることに意味はある。ただ、私はそれぞれを単独で使う場面をほとんど持たない。
昆布だけ、かつおだけだと、力のバランスが悪い。合わさって初めて、うま味が働き出す。
1つ1つでどうこうという話ではないと私は考えている。違いを否定しているわけではない。違いはある。ただ、それを分けて使う理由が、私にはあまりない。
私は基本、合わせだししか引かない
店では基本、昆布だし単独もかつおだし単独も使わない。合わせだししか引かない。
水1リットルに昆布10g、鰹節20g。かつお節は沸騰してきたら入れ、弱火にする。
ベジタリアンのお客さんがいるときは、昆布だし単独にする
例外はある。ベジタリアンのお客さんがいる場合は、昆布だし単独を使うことがある。
鰹節は魚由来なので、そこだけは切り替える。合わせだしが基本という考えは変わらないが、状況に応じて調整する。
昆布だし単独にすると、かなり味に迫力がなくなる。実際に出しているので、そこははっきり分かる。
昆布10g・鰹節20g。にんべんもヤマキも同じ分量だった
昆布10g・鰹節20g・水1リットルというこの配合に、特に理由はない。色々な店舗を回ってきた上で、一つの正解として身についたものだ。
にんべんの合わせだしのレシピは、だし昆布10g・鰹節20g・水1リットル。ヤマキの合わせだしの説明も、だし昆布約10g・花かつお約20g・水1リットルとしている。
理由もなく経験だけで辿り着いた配合が、大手メーカー2社の基本分量と一致していた。理由は説明できないが、同じ場所に行き着いていたということだと思う。
料理長メモ:この配合比に、理由らしい理由はない。色々な店を回ってきた中で、自然と身についたものだ。なぜこの比率なのか、理屈で説明しろと言われても、できない。ただ、長く続けてきて、これに落ち着いた。
かつお節を入れる火加減は、メーカーでも説明が分かれている
かつお節を入れるタイミングと火加減は、メーカーによって説明が分かれている。
にんべんは、沸騰したら火を止め、鰹節を入れて2分おくとしている。ヤマキも、沸騰したら火を止め、かつお節を入れるという説明だ。
一方でマルトモは、沸騰させたあと少し火を弱めてから花かつおを入れ、2分程度煮出すとしている。
私のやり方は、マルトモの説明に近い。ただ、どれが正しいという話ではない。説明が分かれているというだけのことだ。
アクは全部取らない。最初の強いところだけ取って漉す
かつお節を入れてからは、本当に少しの時間しか置かない。強いアクだけを取ったら、そこですぐにこす。
アクは基本、長く出続ける。だから、最初の部分だけを取るようにしている。
メーカーは2分という説明をしている。私はそれより短いことが多い。ただ、どちらが正しいという話ではない。
精進料理では昆布が主役になる
うま味インフォメーションセンターは、精進料理のだしについてこう説明している。だしをとる場合には主に昆布を使う。魚や肉の類は使えないため、昆布のほかには干椎茸や大豆、干瓢などの乾物を使用する。
店でベジタリアンのお客さんに昆布だしを使うのは、特別な工夫というより、昔からある考え方に沿っているだけなのだと思う。
家庭は合わせだし1つでいい
昆布とかつお、それぞれに違いはある。うまみの成分も、出方も違う。
ただ、家庭で使い分けを考える必要は、あまりない。
合わせだし一つ。水1リットルに昆布10g、鰹節20g。それで十分だ。
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料理歴20年以上の現役料理長。和食・肉料理の現場で培った知識を、家庭で活かせる形で発信しています。調味料の使い分けから包丁の選び方まで、プロの本音で解説するブログ「料理長まっくるの和食帳」を運営中。