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一番だしを取ったうえで、いりこを7〜8匹そのまま足す。理屈では重ねない組み合わせだが、店ではこれが一番評判がいい。
店の味噌汁は、一番だしにいりこを足している
うちの店で味噌汁に使う出汁は、一番だしだけだ。二番だしは今の店では取っていない。
その一番だしに、いりこをそのまま足す。粉末にしたものではなく、いりこという魚そのものを鍋に入れる。だしパックのような便利さとは、方向が違う。
水1リットルに7〜8匹。鍋に出汁を注ぐときに入れる
分量は水1リットルに対していりこ7〜8匹。少なすぎず、多すぎない数字だ。
入れるタイミングは、鍋に一番だしを注ぐときだ。出汁を注いだところにいりこを加え、そのまま火にかける。難しい手順は特にない。
いりこは取り出さない。冷めるまで入れておく
いりこは途中で取り出さない。鍋の中に、冷めるまでそのまま入れておく。
出汁を引いたら漉して終わり、という作り方とは違う。いりこを入れっぱなしにしておくこの時間も、味に関わっていると思う。
頭もはらわたも取らない
いりこの頭も、はらわたも、うちでは取らない。そのまま鍋に入れている。
京都府の水産事務所は、煮干しについて、頭と内臓を一緒に煮出すとえぐみが出やすいと説明している。味噌メーカーのひかり味噌も、頭と腹わたは臭みの原因となるので取り除くと説明している。
一般にはこう説明されている。私は取っていない。ただ、取ったほうがいいという説明があることは知っておいてほしい。真似する場合は、まずは取り除くやり方から試すほうが失敗はない。
かつお節と煮干しは、本来なら重ねない組み合わせだ
だし原料メーカーの焼津水産化学工業は、煮干しについて、アミノ酸系のペプチドが多く、コクとまろやかさを併せ持つと説明している。かつお節と同じイノシン酸系のうまみを持つ食材だという説明だ。
キッコーマン系のサイトでは、かつお節と煮干しはどちらもイノシン酸系のうまみのため、通常は組み合わせないという解説がある。
一番だしを取ったうえで、さらに煮干しを加える作り方を説明した資料は、調べた範囲では見つからなかった。合わせだしか煮干しだしか、どちらかを選ぶ形で説明されているものがほとんどだった。今回のやり方は、そのどちらとも違う。
それでも足すのは、いりこのコクが味噌に効くからだ
理屈では重ねない組み合わせだ。それは分かっている。
それでも私はいりこを足す。いりこの旨みとコクが、味噌汁によく効いてくる。
セオリーではこう。でも自分はこうしていて、実際に店では評判がいい。プロだから正しいという話ではない。理屈と現場が食い違うこともあるのだと思う。頭とはらわたの扱いも、根っこは同じ話だ。
いりこと煮干しは、同じものだ
農林水産省のJAS規格には、煮干魚類として、カタクチイワシなどを煮て乾燥させたものという定義がある。いりこも煮干しも、この定義に当てはまる同じ食材だ。
呼び方が違うだけで、中身は変わらない。
味噌は合わせ味噌。配合だけは書けない
使う味噌は合わせ味噌だ。ただし配合は店の味そのものなので、ここでは書かない。
味噌を入れたら沸騰させない。香りが立つのは75℃
味噌メーカーのマルコメは、味噌汁の香りが一番たち、おいしく飲めるのは75℃だと説明している。沸騰直前の95℃で火を止める、ともしている。
味噌を溶いたあとは、沸騰させない。この一点だけ守れば、香りは残る。
味噌の量は1杯17g前後
マルコメは、味噌汁1杯分の味噌の量を17g前後、大さじ1杯、お湯160mlとしている。
これは家庭でも真似できる
一番だしを一から取るのは、家庭では正直、大変だと思う。昆布と鰹節を用意して、温度を見ながら引く。毎日の食事のたびにやるには、手間がかかる。
でも、いりこを何匹か足すことなら、誰でもできる。市販のだしパックや顆粒だしを使っている人でも、そこにいりこを数匹足すだけで、味噌汁の印象は変わってくる。
出汁を変えるのではなく、足す。そのくらいの気軽さで試してほしい。頭とはらわたが気になる人は、取り除いてから足しても構わない。
料理長メモ:手間をかけて一番だしを取っているのに、そこにさらに別の出汁を重ねる。書いていて、自分でもおかしなことをしている自覚はある。理屈で言えば無駄な足し算だ。それでも、味噌汁という料理には、この重なりが要るのだと考えている。
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料理歴20年以上の現役料理長。和食・肉料理の現場で培った知識を、家庭で活かせる形で発信しています。調味料の使い分けから包丁の選び方まで、プロの本音で解説するブログ「料理長まっくるの和食帳」を運営中。