牛肉の希少部位で、一番おいしいのはどれか。
検索すると、ランキングがいくつも出てくる。だが先に結論を言うと、1位というのはつけ難い。
希少部位に1位はつけられない。部位ごとに味が違う
トモサンカクとマルカワでは、脂の量がまるで違う。赤身の強さも、部位ごとに別だ。
店で希少部位として出しているのは、その時々によるが7部位だ。ミスジ、トモサンカク、カイノミ、イチボ、シャトーブリアン、ハラミ、マルカワだ。
店で出す7部位を、脂が強い順に並べる
| 部位 | どこの肉か | 味をひと言 |
|---|---|---|
| トモサンカク | もも(しんたま)から分ける部位。別名ヒウチ | 脂分が多めでジューシー |
| イチボ | お尻側の「らんいち」を、ランプとイチボに分けたうちの一つ | 赤身感とジューシーさが両方ある |
| ミスジ | 肩(肩甲骨の内側) | サシが入っていて柔らかい |
| ハラミ | 横隔膜。分類は内臓(副生物) | 味が濃く、赤身感が強い |
| カイノミ | ばら肉(ともばら)の中の、ヒレに近い部位 | 腹身より少し歯応えがあり、肉汁が多い |
| シャトーブリアン | ヒレの中心部分 | とても柔らかい |
| マルカワ | もも(しんたま)から分ける部位の一つ | 脂は少ないが、味が濃い |
部位の場所は、日本食肉流通センターの規格書と、農林水産省の広報誌に載っている部位図鑑をもとにした。部位の全体像は和牛の部位完全ガイドに書いた。
この並びは脂が強いものから赤身が強いものへの順番だ。うまい順ではない。
トモサンカク|脂分が多めでジューシー。香りも独特
トモサンカクは、もも(しんたま)から分ける部位だ。別名はヒウチという。
脂分が多めでジューシーだ。香りも独特だ。7部位の中では、最も脂分が多い部位として並べている。
初めて食べたとき、なんでこの部位がもっと有名じゃないんだと思った。
イチボ|赤身感とジューシーさが両方ある
イチボは、お尻側の「らんいち」を、ランプとイチボに分けたうちの一つだ。
赤身感とジューシーさが両方ある部位だ。店でも人気の部位の一つだ。
ミスジ|サシが入っていて柔らかい
ミスジは、肩の、肩甲骨の内側にある部位だ。サシが入っていて柔らかい。
ハラミ|味が濃く赤身感が強い。ただし分類は内臓
ハラミは、横隔膜の部位だ。分類は内臓(副生物)になる。
味が濃く、赤身感が強い部位だ。
農林水産省の広報誌に載っている部位図鑑は、ハラミを「赤身肉のように見えるが実は内臓である」と説明している。
料理長メモ:日本食肉消費総合センターは、ハラミとサガリを分けずに、まとめてハラミと呼ぶことがあると説明している。
カイノミ|腹身より少し歯応えがあり、肉汁が多い
カイノミは、ばら肉(ともばら)の中の、ヒレに近い部位だ。
腹身より少し歯応えがあり、肉汁が多い。部位としてもハラミに近く、味わいも割と近いと思う。
食べ方まで含めた話はカイノミとは?に書いた。
シャトーブリアン|歯がなくても食べられるほど柔らかい
シャトーブリアンは、ヒレの中心部分だ。
とても柔らかい部位で、歯がなくても食べられるほどだ。香りも独特だ。
料理長メモ:農林水産省の広報誌は、牛一頭から取れる量を紹介している。ミスジは3キログラムほど、シャトーブリアンは600グラムほどだ。
マルカワ|脂は少ないが、牛肉を食べている感じが強い
マルカワは、もも(しんたま)から分ける部位の一つだ。
脂分は少ないが、もも肉の赤身らしく味が濃い。牛肉を食べている感じが強い。7部位の中では、最も赤身寄りの部位として並べている。
焼肉で初めて頼むなら、ミスジ・ハラミ・カイノミ
焼肉で初めて希少部位を頼むなら、ミスジ、ハラミ、カイノミがおすすめだ。
ヒレは、焼肉屋で焼くのは難しいイメージがある。
私自身は焼肉屋に行かないが、店で出す7部位の中から選ぶなら、この3つを挙げる。
どれが1位ということではない。好みで選んでほしい。
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料理歴20年以上の現役料理長。和食・肉料理の現場で培った知識を、家庭で活かせる形で発信しています。調味料の使い分けから包丁の選び方まで、プロの本音で解説するブログ「料理長まっくるの和食帳」を運営中。