連休明けの朝、布団から出られなかったことはありませんか。
目覚ましは鳴っている。起きなきゃいけないのはわかっている。でも体が鉛のように重くて、天井をぼーっと見つめたまま、時計の針だけが進んでいく。
ようやく起き上がっても、駅までの道のりがいつもの3倍に感じられる。電車の中で「会社に行きたくないな」と何度も思って、自分でその気持ちに驚く。
——もしそんな感覚があるなら、それは怠けでも、気合い不足でもありません。5月病かもしれません。
5月病って、そもそも何なんだろう
5月病は、医学的な病名ではなく、春の環境変化のあとに起きる心身の不調を指す通称です。
新生活が始まる4月、私たちは無意識のうちに気を張っています。新しい職場、新しい人間関係、新しい環境。そのテンションを支えていた緊張感が、ゴールデンウィークの休みでふっと解けたとき、それまで頑張っていた疲れが一気に表に出てくる。
これが5月病の正体です。
厚生労働省の調査でも、メンタル不調を理由とした相談件数は5月に急増することが知られています。つまり、これは特別なことではなく、多くの人が通る道なんです。
私が「5月病だった」と気づいたのは、SNSの一言だった
ある年の5月、私は完全に5月病でした。
ただ、自分ではそれが5月病だと気づいていませんでした。「ちょっと疲れているだけ」「連休ボケが抜けていないだけ」と思い込んで、無理にいつも通りの生活をしようとしていたんです。
朝、なんとか起きて出社する。会社では普通にしているふりをする。でも家に帰ると、玄関で立ったまま動けない。お風呂にも入れない。スマホをいじっているのに、何を見ているかも覚えていない。
決定的だったのは、ある夜たまたま見たSNSの投稿でした。
知らない誰かが書いていた一文。「連休明けからずっと朝起きられない。仕事に行くと胸が苦しい。これって5月病かな…」
その文字を読んだ瞬間、「あ、これ、私のことだ」と思いました。
そのまま「5月病」で検索して、症状を読み進めて、自分にあまりに当てはまることに驚きました。「ちょっと疲れている」じゃなかった。ちゃんと、今、私は心が弱っているんだと、はっきり認められた夜でした。
自分の状態に名前がついた瞬間、不思議と少しだけ呼吸が楽になりました。「私が弱いから崩れているわけじゃないんだ」と、初めて思えたからです。
まず試してほしい、5つのこと
それからの私が、試して本当に効果があったことをお伝えします。全部やる必要はありません。1つでいいので、できそうなものから始めてみてください。
① 朝、5分だけ外の空気を吸う
5月病の特徴のひとつに、朝のだるさがあります。これは体内時計が乱れていることが原因のひとつ。
朝、ベランダに出て5分だけ深呼吸する。それだけで、太陽光がセロトニンの分泌を促してくれます。私は最初、出勤前にコーヒーを片手にベランダに立つだけ、というルールから始めました。
② 「やらなきゃ」を1つやめる
5月病のときは、頑張ろうとすればするほど落ち込みます。
毎日料理を作る、毎日筋トレする、毎日早起きする——そういう「やらなきゃ」を、1つだけ手放してみる。私は「夕飯は週2回コンビニでもOK」と自分に許可を出した瞬間、心がふっと軽くなりました。
③ 寝る前のスマホをやめる
5月病で眠りが浅くなっている人、本当に多いです。
寝る30分前にスマホを置く。それだけで翌朝の目覚めが変わります。最初は「寝る前にスマホを見ないと眠れない」と思っていた私も、本に切り替えたら、3日で慣れました。
④ 「会いたくない人」と無理に会わない
連休明けの飲み会、職場のランチ会、SNSの返信——5月病のときは、人と会うことが普段の3倍疲れます。
「ちょっと体調が悪くて」と言って断っていい。自分のエネルギーを守ることは、わがままじゃありません。
⑤ 病院やカウンセリングを選択肢に入れる
「これくらいで病院は…」と思いがちですが、早めに専門家に相談することは何より効果的です。
最近はオンライン診療も増えていて、家から出ずに相談できるサービスもあります。心療内科は風邪で内科に行くのと同じ感覚で大丈夫です。
ある朝、ただ「散歩する」だけのことを始めた話
私が一番効果を感じたのは、朝の散歩でした。
5月病で会社を1週間休んだとき、ベッドからほとんど出られませんでした。でも、ある朝ふと「外に出てみよう」と思って、パジャマの上にコートを羽織って、近所を10分だけ歩いてみたんです。
帰ってきたとき、体は疲れていたのに、頭の中はちょっとだけ晴れていました。
それから毎朝、10分の散歩を続けました。最初は何も感じなかったのに、1週間続けたあたりから、朝の景色がきれいに見えるようになって、それと同じくらい少しずつ、「明日も生きていけそう」という感覚が戻ってきました。
特別なことは何もしていません。ただ、外に出ただけです。
あなたは弱くない。ちゃんと休む権利があります
「5月病かもしれない」と思っている時点で、あなたは自分の状態にちゃんと気づけている人です。
それはすごいことです。多くの人は、自分が壊れかけていることにも気づかずに、限界まで走り続けてしまうから。
がんばってきた4月の自分を、まず褒めてあげてください。そして、5月くらいは少し休んでもいいと、自分に許可を出してあげてください。
季節は必ず移ろっていきます。今のしんどさも、永遠には続きません。
今日できる小さな1つから、始めてみませんか。🌿