頑張ることをやめたら、もっと頑張れるようになった

「頑張らなきゃ」という言葉が、口癖になっていた時期があります。

朝起きた瞬間から「今日もやらなきゃ」と思って、夜眠る直前まで「もっとできたはず」と反省する。それが毎日続いていました。

頑張ることは美徳だと思っていたし、頑張っている自分が好きでもあった。でも今思うと、あの頃の私は「頑張る」という行為に依存していたのかもしれません。頑張ることをやめたら、自分に価値がなくなるような気がして、怖かったんだと思います。

頑張り続けた先に待っていたもの

社会人になってしばらくは、とにかく動き続けることが正しいと信じていました。

仕事が終わっても自己啓発の本を読んで、休日も何かスキルを身につけようと講座を受けて、友人と会うときでさえ「これは将来の人脈になるか」と考えていた。今考えると、完全に疲弊していたと思います。でも当時は、それが「充実している」ということだと思っていました。

転機は、ある週末のことでした。

いつものように「今日も何かしなければ」と思いながら机に向かったのですが、何も手につかない。資料を開いても頭に入らない。本を読もうとしても、同じ行を何度も読み返してしまう。

気づいたら2時間、ただぼーっと窓の外を見ていました。

そのとき初めて「あ、私、限界なんだ」と気がつきました。頑張り続けることに必死すぎて、自分の体が悲鳴を上げていることに気づけていなかったんです。

「頑張らない」を試してみた

その日から1週間、意識的に「頑張ること」をやめてみました。

やりたくないことはやらない。疲れたら休む。何もしない時間があっても、罪悪感を持たない。

最初の2〜3日は、ものすごく落ち着かなかったです。「こんなにぼーっとしていていいのか」「みんなはもっと頑張っているのに」という声が頭の中でずっとしていました。

でも4日目くらいから、何かが変わってきました。

朝起きたときに、頭が軽い。仕事を始めると、集中できる時間が長くなった。以前は3時間かけてもまとまらなかった企画が、1時間で形になった。

「頑張っていないのに、なぜか仕事がうまくいく」という不思議な感覚でした。

なぜ頑張りすぎると、逆に動けなくなるのか

あとから調べてわかったのですが、人間の集中力や意志力には限界があります。

心理学の世界では「自我消耗」と呼ばれる現象があって、意志力を使い続けると判断力が下がり、最終的には何も決められなくなるといわれています。頑張り続けることで脳が疲弊し、かえってパフォーマンスが落ちてしまうんです。

私がまさにそうでした。「頑張る」ことに力を使いすぎて、肝心の「考える・動く」ためのエネルギーが残っていなかった。

アスリートが試合前に「休養」を取るのと同じで、脳も回復する時間が必要なんです。休むことは怠けではなく、次に動くための準備。頑張ることをやめた1週間は、私にとってその「準備期間」だったんだと思います。

「力を抜いたほうがうまくいく」という体験を重ねて

それ以来、意識的に「頑張りすぎない」を実践するようにしました。

たとえば、仕事は17時になったら必ず終わりにする。休日は何もしない日を週に1日作る。「やらなきゃ」と感じたことを、「本当にやりたいか?」と一度自問する癖をつける。

最初は怖かったです。頑張らないことで、自分がどんどん遅れていくような気がして。でも実際には逆でした。

力を抜いたほうが、アイデアが出る。余白があるほうが、人の話を丁寧に聞ける。疲れていないほうが、細かいミスが減る。

「頑張ることをやめた」のではなく、「頑張るべき場所に絞って頑張れるようになった」という感覚に近いかもしれません。

本当に頑張りたいことのために、力を残す

「頑張らない」と聞くと、なんだかだらしない印象があるかもしれません。

でも私が言いたいのは、「なんでもサボっていい」ということではなくて、自分が本当に大切にしたいことに、エネルギーを集中させるということです。

全部に全力を出そうとすると、何もかもが中途半端になる。頑張る場所を絞ることで、本当に大事なことに深く向き合えるようになる。

「頑張りたいのに頑張れない」と感じているなら、それはサボりたいのではなく、ただ疲れているだけかもしれません。

そんなときは、頑張ることを一度やめてみてください。休んだ先に、また動き出したい気持ちが戻ってくることがあります。少なくとも、私はそうでした。

頑張ることをやめた日から、私は少しだけ、自分らしく頑張れるようになった気がしています。🌿